こんにちは。新潟市在住ライターの中林です。
去る2021年6月13日(日)、佐渡金銀山のまち佐渡相川で開催された「ミライノキタザワ」というイベントについてレポートさせていただきます。
イベントが行われた会場は・・・
「北沢浮遊選鉱場跡」(きたざわふゆうせんこうばあと)
佐渡金銀山は、1,601年から1,989年まで約400年間採掘がおこなわれておりました。「北沢浮遊選鉱場」は長い採掘の歴史で、比較的近代に作られた施設で、掘り出した鉱石から金・銀を取り出すために作られた場所です。
今では人気の観光名所であり、国の史跡となっている「北沢浮遊選鉱場跡」
わたしは数回ここを訪れていますが、何度見てもここの雰囲気に圧倒され感動を覚えます。
まさに「ラピュタ感」!
なんでも「天空の城ラピュタ」に登場する巨人兵のフィギュアをここに持ってきて写真撮影をする人もいるそうです。
そんな歴史的な場所という背景をもち、さらに見た目のインパクトも強烈な「北沢浮遊選鉱場跡」。
「ミライノキタザワ」はこの場所を舞台に一日限定で開催されました。
目次
今回のイベントは地元の有志によって結成された「相川車座」(あいかわくるまざ)によるキックオフイベント。
「相川車座」とは、新潟日報社など官民4者が相川地区の古民家再生などを進めるための協定が締結されたのを機に結成された会社です。
10年後の相川に住民が増え、子供たちがたくさん遊んでいる「未来の姿」を想像し、それを先取りして実現させてしまおう!という想いで企画されたイベントが「ミライノキタザワ」
実は相川車座の活動には「BORDERLESS佐渡」が大きく関わっています。
そのことは本記事の最後に、「相川車座」代表・岩崎氏、「BORDERLESS佐渡」代表、「相川車座」事務局長・雨宮氏のインタビューにてお伝えいたします。
さて北沢浮遊選鉱場跡を舞台にした「ミライノキタザワ」は4つの体験や催しが行われました。
それぞれの模様をお伝えします。
一番に賑わっていたといっても過言ではない「スポーツ体験」
選鉱場前の広い芝生エリアでは、大人も子供も楽しめるさまざまなスポーツ体験が企画されました。
とくに盛り上がっていたのが「バブルサッカー」
見ているだけでも笑えるほどに、ぶつかりあったり、転がったり。
運動のスキルは関係なく、対等にたたかえる面白スポーツって楽しいものですね!
地元の人が子供たちに教える「タグラグビー教室」
芝生の上を走り回って、汗だくになりながらラグビーを楽しんでいました。
子どもだけではなく、大人も一緒に必死になって走り回っている姿がサイコーです♪
その他にもたくさんのアトラクションがありました。
フライングディスク!
ストラックアウト!
めちゃくちゃジャンプできるマット!
(なんていうんだろう?エアーマット?)
これも大人気で、ずーっと誰かがピョンピョン飛んでいました。
どのスポーツ体験の風景にも、存在感がある史跡が映り込むんです。
まるで、歴史と遊んでいる人たち!
この日、この場所ならではのある意味歴史的な風景を目にすることができました。
相川の飲食店、佐渡総合高校、AWGP、ヴィーガン料理「The Lovers(ラバーズ)」が出店した「食ピクニック」
こちらもどんどん人が立ち寄り、売れる売れる!!!
想定を上回る人気だったようで、あっという間に売り切れとなってしまいました。
レジャーシートやイスに座り、お仲間同士ピクニックを楽しむ光景。
それも史跡に囲まれながら♪
朝は雨が降っていたのですが、11時のスタート時間にはすっかり雨が上がりました。お天気にも恵まれました!
「親子で箸置き作り」無名異焼(むみょういやき)工芸体験。
佐渡金銀山周辺のある場所でしか採取できない特別な土でつくる伝統工芸「無名異焼(むみょういやき)」のワークショップです。
講師を担当した方は、無名異焼を製造販売している「北沢窯」の其田 弘輔さん。お話がとても分かりやすく、作業手順などの説明がとてもお上手!
参加された親子はみんな集中してオリジナル箸置きを作っていました。
家に帰ってからも箸置きを見るたびに、今日の思い出をふりかえることができるっていいですよね!
クイズに答えると、豪華賞品をゲットできる「選鉱場クイズラリー」
ドヤ顔カメラ目線の蝶ネクタイのスタッフ!担当したのは根岸 建次さん(元プロボクサー!)
根岸さんが用意したクイズラリーは、よくあるやさしい問題ばかりのものではなく、ガチで難しい問題が多数!
◎問題(レベル 10)
北沢地区には色々な工場があったが、仕上工場、鋳造工場、木型工場、木型倉庫、製缶工場、木工工場、製材及び雑作業場、あと一つを英語で答えよ。
いやいやいや、めちゃくちゃ難しい!!!
(答えは・・・聞きそびれました。スミマセン)
「オシャレでカッコイイ写真の撮り方教室」
カメラマンの土井直美さんによるワークショップです。
土井さんは京都のご出身だそうですが、佐渡の自然の風景の魅力に惹かれて移住してきたというバイタリティ溢れるお方。
数々の写真コンテストに入賞するほど、素晴らしい写真を撮っています。
「土井さん、教えてください」
何人かの希望者が土井さんに声をかけ、写真のレクチャーを受けていました。
どこを撮っても絵になりそうな北沢浮遊選鉱場ですが、より素晴らしい写真がとれてしまうかもしれませんね!
土井さんはインスタグラムもやっています。
ぜひチェックしてみてください♪
佐渡といえば有名な伝統芸能「佐渡おけさ」
他にも能や鬼踊りなどの伝統芸能が多くあり、それがしっかりと受け継がれているんです。
今年で97年目という老舗芸能「立浪会」の演舞で芸能ステージが幕を開けました。
さすがの老舗。圧巻のステージ!
芸能ステージ中盤には芸能参加者や、お客さんも一緒に佐渡おけさを踊る企画されました。
BUNZOおけさ会の生演奏による「みんなでOKESA!!」
何度も言いますが、このロケーションの中で生演奏&踊りの体験は本当に最高です。
地元相川の人で結成されたジャズバンド「The Golden Fortunes」の登場。
夕暮れに染まる選鉱場をバックに聞くジャズの演奏が披露されました。
ジャズの演奏や歌唱はもちろん、会場の雰囲気がとても素晴らしく♪
歴史の一ページの場所に身を包まれながら、今この瞬間に流れる音楽を全身で楽しむ。
心が落ち着く贅沢なひとときを全身で感じる豊さ。
そんな感覚を覚え、音楽に酔いしれました。
日が沈みライトアップされた北沢浮遊選鉱場跡を前に「立浪会」が再登場しトリをかざりました。
「立浪会」九十七年の歴史がつくりだす風格、存在感。
夜の選鉱場の幻想的な雰囲気の中、「ミライノキタザワ」はフィナーレ。
すべての催しが終了となりました。
相川車座のキックオフイベント「ミライノキタザワ」の様子をお伝えいたしました。
他にも様々なアトラクションや伝統芸能などが行われたのですが、とても盛りだくさんでこれでも紹介しきれません!
この日訪れたお客さんは、なんと約1,000人!!!
用意していた入場チェックのリストバンドが早々に切れてしまい代替えのものを用意するほど、予想を上回る数のお客さんが来場されました。
今回のキックオフイベント「ミライノキタザワ」は大成功だったといえるのではないでしょうか。
最後に「相川車座」代表・岩崎氏、「BORDERLESS佐渡」代表、「相川車座」事務局長・雨宮氏に今回のイベントについて、そして今後の活動についてお話をお聞きしました。
――雨宮さんの「相川車座」への関わりをお聞かせください。
雨宮氏「相川地域の人たち、官(佐渡市、佐渡観光交流機構)、民(協賛企業、関係企業各社)でのワンチームの場作り、まとめ役をやるのが私の仕事です。とは言っても、雑用から交渉ごと、資金調達などいろいろやっています。」
――そもそも「相川車座」はどのようにして発足したのですか?
岩崎氏「2020年の暮れに、佐渡市・佐渡観光交流機構・新潟日報・NOTE(ノオト)の4者による協定が結ばれ、“歴史的資源を活用した地域の活性化を目指すプロジェクト”の第一号に相川が選ばれたことがきっかけでした。
「相川車座」は4者とともにまちづくりを行うためまちの有志で結成しました。
「100年後の子孫にこのまちをつないでいきたい」という想いのもと、「相川」を賑わうまちにするため、佐渡島内外から人を集めるための活動を行っていく会社組織として発足しました」
――今回なぜ「ミライノキタザワ」が企画されたのですか?
岩崎氏「相川車座が目指していくことは、相川の人を増やすこと。移住者や相川のファンを増やしていくことが重要だと考えています。
そのためには、魅力的な場所をつくり、その場所が活性化していくことが大事です。今回の舞台となった「北沢浮遊選鉱場跡」もその一つ。
とても魅力的な場所にもかかわらず、ゆっくり楽しんだり滞在できる場所になっていない状況でした。
そこで「北沢浮遊選鉱場跡」を、今後相川が活性化していくシンボルの場所としていくため、ここでイベントを開催して文字通り「未来の北沢」をイメージしてもらおうということで企画しました」
――イベントの準備から開催まではいかがでしたか?
雨宮氏「開催まで一か月足らずで準備をして立ち上げました。限られた時間での準備が大変でした。イベントを行うこと自体、私も含め皆が素人。
それにも関わらず、想いの大きさから結果的にイベント自体の規模も大きくなっていってしまい、調整していくことがとても大変でした(笑)
また今回行った場所「北沢浮遊選鉱場跡」は国の史跡。世界遺産登録を目指しここを管理する佐渡市の担当部署との調整交渉に苦労しました。利用の許可ひとつもらうのにも本当に大変なんです。
一つ一つお願いと相談をしながら進めていき、なんとか無事に開催することができました。準備を進めていくうえで一番大事にしていたことは、とにかく話し合うこと。皆で意見を聞きあうこと。
文字通り車座で物事をすすめていくことを意識していました」
――「ミライノキタザワ」を通して感じたことや、伝えたいことはどんなことですか?
雨宮氏「大変なときや困ったときに手を差し伸べてくれたのは町の人たちでした。困っている私を見てアドバイスしてくれたり、イベント当日も手伝ってくれた町の人がたくさんいたんです。
相川地域の人以外でも、ワーケーションで佐渡に訪れている人、佐渡に移住してきた人もお手伝いいただいたり・・・本当にいろいろな人に助けてもらいました。
私自身、今回イベントを行ったことで「相川車座」を中心にまちの人、官・民との距離がぐんと近くなりました。正直、きついこともあったけれど、それを乗り越えて開催したことで、すごく一体感が生まれたと感じています。
この経験、体験をこれからのBORDERLESS佐渡の活動にも活かしていきたいと思います」
岩崎氏「今回のイベントはまるで大人の文化祭でしたね!ご協力いただいた皆様、ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!」
今回1,000人規模のキックオフイベントを成功させた「相川車座」代表の岩崎さん。
そして、地域のひと、官(佐渡市)・民(民間企業)がワンチームで進めていく橋渡し役を担い、「相川車座」の一員として活動したBORDERLESS佐渡・代表の雨宮さん。
今後の「相川車座」の活動は、これからの「BORDERLESS佐渡」の活動にも密接に絡み、人と人の輪がより広がりさらに深くなっていくのではないでしょうか。
佐渡相川で展開される「相川車座」と「BORDERLESS佐渡」の活動を、これからも追いかけていきたいと思います。